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人が宇宙利用を通じてもっと幸せになれるように日本の基幹ロケットによる打上げ輸送サービスを担う

宇宙開発で培われた“熟れた技術”をベースに低価格な宇宙ビジネスが活況呈す

昨今、世界的に宇宙ビジネスが活況を呈してきました。歴史的に宇宙産業をリードしてきた欧米、ロシア、日本など以外の国・地域でも、いわゆる宇宙ベンチャーも登場して、小型ロケットの開発や打上げ、人工衛星による各種の観測や放送・通信、データサービス、宇宙空間ならではの実験や製造など多様な事業を展開しています。また、宇宙旅行の募集が始まるなど、アミューズメントの方向からアプローチも出てきました。政府や民間ファンドなどによる、新たな宇宙ビジネスを育成するための支援策も相次いできました。

かつての“宇宙開発”が、大型・高機能・高価値を前提条件としたものだったのに対して、いまの宇宙ビジネスは、そうした宇宙開発を通じて培われた“熟れた技術”をベースにいろんな別の要素も組み合わせながら、もっと低価格にしていこうという大きな流れを着実に形成しつつあると認識しています。宇宙に向き合い仕事をする身としては、非常に心強く思います。私たちが長い期間続けてきた取り組みと、新しい動きが相乗効果を生んで、宇宙が人間をもっと幸せにするうえで敷居が低く、間口が広くなってくれるよう期待しています。

一方で長期的にとらえた場合、宇宙ビジネスが急拡大するにはその臨界点を迎えるための条件がまだ整いきれていない、足りないものがあるという認識です。加えて、宇宙との付き合いは常に失敗と背中合わせで、失敗のダメージも大きいことから、この分野に挑戦する場合は諦めない心と紆余曲折に対する覚悟が大切だと思います。

「日本品質」が実現する世界トップ水準の打上げ信頼性・能力

三菱重工業は、日本の基幹ロケットであるH-IIAおよびH-IIBの製造(最終組み立て)およびこれらによる打上げ輸送サービスを手掛けています。打上げが移管されて以降、両ロケットとも打上げ成功率は世界最高水準(移管前を含め、H-IIA97.4%、H-IIB100%)です。さらに、天候不良などの外的事情でなければ計画日・時刻に打上げを実現するオンタイム打上げ率も世界トップクラスで、打上げ顧客の要望にすべて応えるというサポート体制と併せた“3点セット”がセールスポイントです。

これには、日本のものづくりが長く誇りとしてきたつくり込み・すり合わせ(インテグレーション)の伝統、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)ならびに参加企業とのチームワーク(日本人が大切にする『和』のこころ)、賓客や友人の期待・要望を可能な限り満足させたいという“おもてなし”の精神などが、複合的に影響し合っているのではないかと思います。

自動車なら実車を使ったチューニング、航空機ならテスト飛行ができますが、ロケットは実機テストができません。このため、毎回打上げの直前まで、関係者が約100万点の部品について問題無いことを徹底的に議論・確認を繰り返しています。こうした積み上げが、おそらくやり直しができない一発勝負となる打上げ作業における高い成功率とオンタイム打上げ率の裏付けとなっているのでしょう。宇宙ビジネス全般に通じる秘訣かと思います。

新型H3ロケットは衝撃加速度1/4で優しい“乗り心地”に

1970年代のN-Iから数えて5代目の基幹ロケットであるH-IIAは、4代目のH-IIが純国産(100%日本製)の実現という使命を担ったのを受け、その高い性能および信頼性を保持したままでコストを引き下げるという使命を担いました。そして、製造から打上げまでを民間が手掛けるという重要な目標も成し遂げ、20年を超す運用期間を誇っています。今後の課題としては、さらにコストを下げ、かつ使い勝手も改善された強い国際市場競争力を持つ新型ケットの開発がありました。

この期待を担い、現在JAXAが主体となってH3ロケットの開発が2020年度の打上げ開始に向け大詰めに差し掛かっています。H3が背負う目標は、H-IIAに比べ約半分のコスト、受注から打上げまで約半分(約1年)のリードタイム、そして、打上げ後の衝撃加速度が1/4という“乗り心地”の優しさです。ロケットが宇宙空間を目指して地球重力と格闘しているときに、衛星などのペイロード(積み荷)は最も過酷な環境にさらされます。その間の負荷を衝撃緩和で減らしてやれれば、ペイロードの軽薄短小化や低コスト化、自由度増大などがはかれることとなり、打上げ輸送サービス市場でH3は決定的な競争力を獲得することができることでしょう。

三菱重工をはじめ基幹ロケットの仕事に関わる日本の産業界は現在、H-IIAH-IIBの製造と並行して新たにH3プロジェクトに参画することで、宇宙関連の生産・技術基盤を存続・発展させていくうえで非常に望ましい環境下にあると思います。H3は、向こう20年間は強い国際競争力を持つ日本の基幹ロケットとして、いま以上に多数の日本政府による宇宙開発ミッション、国内外からの打上げサービス受託、国際宇宙シテーション(ISS)への物資輸送に代表される国際貢献を担っていく予定です。このために、三菱重工も、ロケットの製造・最終組み立てを受け持つ名古屋航空宇宙システム製作所 飛島工場を約2倍に増床するなどして増産に対応していく計画です。

9月にH-IIB7号機打上げ‐国際協力に強い自負と責任感で臨む

9月には、H-IIB7号機により、ISSに物資を届ける宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)を、種子島宇宙センターから打ち上げます。JAXAによれば、今回初めてISSから宇宙実験サンプル等を地上に回収するための小型カプセルを搭載して打上げ技術実証を行うとことです。また、欧州宇宙機関(ESA)は、HTV7号機に新型のISS用生命維持装置「ACLSAdvanced Closed Loop System:閉鎖系循環システム)」の輸送を委託すると発表しています。有人宇宙飛行が始まった1960年代以来ずっと、人間の呼吸で生じたCO2と水の電気分解で発生したH2だけは、循環利用せず宇宙空間に廃棄していますが、ACLSはこれらを循環利用できるようにすることで、遠距離・長期の有人宇宙飛行時代を拓く画期的な技術ということです。

人間が宇宙を通じてもっと幸せになれるように願い、宇宙のフロンティアを拡張する国際協力活動の一翼を、ロケット打ち上げ領域から担う‐こうした強い自負と責任感を胸に私たちは仕事に励んでおり、今回の7号機打上げにも万全を期して臨む決意です。

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